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文芸ムック「あたらよ」の魅力をまとめてみた件

kazuma(管理人)
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文芸ムック「あたらよ」を買いました。

 このあいだ、短編をひとつ書き上げて、応募先を探すために書店に立ち寄りました。

 文芸誌のコーナーで「あたらよ」という新しい文芸ムックが出版されているのを知り、手に取ってみました。

 「あたらよ文学賞」の公募があることは、noteやSNSで拝見して少し前から知っていたのですが、実際に読んだことはありませんでした。

 誌面を覗いてみると、かなり新しいことに取り組まれている文芸ムックのように感じます。

 今回は文芸ムック「あたらよ 第二号 青」を読んでみたレビューをお届けします。

 Webで文章を書いている、あるいは、これから書いてみたい、という方にとくにおすすめの文芸ムックなので、ぜひチェックしてみてください。

文芸ムック「あたらよ」5つの特徴

 文芸ムック「あたらよ 第二号」を読んで感じた特徴としては、

文芸ムック「あたらよ」5つの特徴

 ①Webの書き手にも掲載のチャンスがある
 ②あたらよ文学賞の講評が手厚い
 ③扱う小説のジャンルや形式が幅広い
 ④読者参加型の文芸ムック
 ⑤デザイン面にこだわりが見える

 の5点です。

①Webの書き手にも掲載のチャンスがある

 文芸ムック「あたらよ」を読んで、まず感じたのは「Webの書き手」の投稿作品の掲載の場が広く取られていたことです。

 一般的な「文芸誌」というと、既に紙媒体の書籍で出版されている商業作家さんや、知名度の高い著名人・文化人だけが書けるもの、というイメージがあります。

 しかし「あたらよ」では、「あたらよ文学賞」で読者から幅広く投稿作を募り、誌面の約半分が当選作と選考会に割かれています。

 文芸誌では、アマチュアの投稿作が誌面に載ることはめったにありませんし、新人賞にしても大賞作品のみが掲載されます。

 あたらよ文学賞では、

・大賞 1点
・優秀賞 3点
・佳作 5点

 と大賞~佳作までの計9作品の受賞作が、誌面に掲載されており、普段の活動の場がどこであれ、面白い文章であれば広く募るというスタンスが伺えます。
 
 紙の媒体ではなかなか読めなかった、Web作家さんの作品が「あたらよ」を買えば誌面で読める、というところもよかったですね(アナログ派の人)。

 ふだんはWebで書いているけれども、公募にもちょっと挑戦してみたい、と考えはじめた方におすすめの文学賞かもしれません。

②あたらよ文学賞の講評が手厚い

 文芸ムック「あたらよ」で開催されている、「あたらよ文学賞」では、講評が手厚いのもポイントだと思います。

 「あたらよ」のnote公式ページ(有限会社EYEDEAR)では、1次選考の通過作から選評が掲載されています。

 一般的な公募では、選考委員からの評が付くのは、最終選考の通過作のみであることが多くなっています。

 公募へのトライは、基本的には孤独な投稿生活になりやすいため、応募していて手応えが感じられない、フィードバックが得られずに悩んでいる方にとってはチャレンジの価値があります。

 選考会の様子はnoteだけでなく、大賞・優秀・佳作作品が掲載される「あたらよ」の誌上でも公開されており、1作1作を合評しながら、選考過程が垣間見える内容です。

 選考会の部分を読んだ上で、該当作品を誌上で読めるため、評と実際の作品の読み比べをすることができ、公募の流れがクリアで分かりやすいのもメリットと言えるでしょう。

 ・Webで活動していて公募にチャレンジしてみたい方
 ・作品へのフィードバックを得たい方
 ・選考過程が分かる賞に応募したい方

 にとくにおすすめの文学賞だと思います。

③扱う小説ジャンルの幅が広い

 文芸ムック「あたらよ」に掲載された作品を一読してみると、

 ・ライト文芸
 ・青春小説
 ・恋愛小説
 ・ファンタジー
 ・SF

 など、扱っている小説のジャンルの幅が広いことが分かります。

 公募では基本的にある程度の「ジャンル指定」があるので、応募先に合わせた作品制作がメインになりますが、

 「あたらよ」さんではジャンルの幅はかなり広く取られている印象です。

 第三回あたらよ文学賞の規定を読むと、応募資格は不問、テーマは「嘘」とだけ決められていて、「定義に囚われない面白い小説であればジャンルは問わない

 とあります。

 「自分では面白い作品だと思うのだけれど、作品に合った応募先」が見つからないときに、「あたらよ」さんに投稿してみてもよいのでは? と思います。 

 一般の公募投稿欄ではありませんが、

・短歌
・エッセイ
・書評

 などの寄稿もあり、創作作品の形式に囚われず、面白い文章なら掲載するというスタンスなのかなと。

④読者参加型の文芸ムック

 文芸ムック「あたらよ」を読んでいて思ったのは、この文芸ムックは「読者参加型」かもしれないと感じました。

 これまでの文芸誌のイメージというと、プロの作家さんの最新作が単行本になる前に読めたり、作家さん同士の対談や、創作の裏話などが読めたりするという利点がありました。

 もちろんそれらは文学ファンにとって大きな魅力ですが、「作者」と「読者」の間にはきっちりとした線が引かれてあって、新人賞を取っていないアマチュアには門戸が開かれていない、という点があります。

 誌面に掲載する作品の質や作家の技術を担保するために、こうした線引きが機能しているのだと思います。

 一方で、プロでなくとも「作品を書いてみたい」「誰かの作品を読みたい」という方は、Web上にはけっこうな数の需要があります。
 
 それで、プロではないもの書きの方にとって、受け皿となる場所やプラットフォームが見つからないというのが、現状なのかなと思いました。

作家になる前の「練習場」があってもよいのでは?

 サッカーなどでは、トップの試合に出る「A代表(チーム)」の下に、リザーブ(控え)メンバー、海外クラブやJリーグのクラブチーム、その下部組織のユースチーム、地域ごとのジュニアチームやサッカースクールがあります。

 下部組織での育成を経て徐々に、上のチームに上がっていく選手を育てる、という考え方があり、「育てて拾い上げる」ことって、実は文芸にも必要なのでは、と思ったりします。

 仮にトッププロの作家が「A代表」として、紙の媒体や文芸誌で活躍する場があるのであれば、その裏側のコートで、まだプロになる前の書き手が練習できる場があってもよいのでは、と思ったり。

 もちろんサッカーはチーム競技で、作品を書く作家はどこまで行っても最後は一人で書くもの(個人の職人技)という違いはあります。

 そもそも公募を一人でのし上がってこれるような力がなければ、作家としては大成しないだろうという見方が強いのかもしれません。

 でも、異なるジャンルの考え方を取り入れるともっと面白くなるのかな、と個人的には思います。

文芸誌を読む読者は、潜在的な書き手でもある

 文芸誌を読むような読者は、おそらく「自分でも書いてみたい」欲求を持っていて、そのヒントになるものを探して、文芸誌を読んでいるところがあるのではないか。
 
 つまりそれは潜在的な書き手でもあるということで、

 つねに「読者=作品の受け手」で収まるような図式ではなく、いずれ「読者=書き手」に変容する可能性を多分に秘めています。

 これまで「トップダウン」式の文芸誌がスタンダードになっていましたが、これだけ「書きたい」「読みたい」という層がWeb上に無数にいることを考えると、

 ボトムアップ式の「読者参加型」の文芸誌の需要が出てきて、台頭するのではないかな、と予想しています。

 いまのところ、一般の書店にも流通し、SNSやWebを巻き込む形で「読者参加型」の文芸誌を作っているところは限られているかなと。

 SNSなどのプラットフォームでの積極的な宣伝と投稿者同士の交流、既刊の購入と感想を「文学賞」の応募規定とする発想など、

 読者と一体になって盛り立てていく勢いを感じるのが文芸ムック「あたらよ」さんだなと感じます。

⑤デザインへのこだわり

 文芸ムック「あたらよ 第二号 青」の表紙には、集合住宅の風景がデザインされています。

 はじめは何気なく見ていて、あまり意識していなかったのですが、じっくりと見ているうちにふと気が付くことがありました。

 文芸ムック「あたらよ」では、紙やWebの媒体を問わず、色んなバックグラウンドの書き手の作品が隣り合う構成になっています。

 文芸ムックの表紙に描かれているのは、「夜が明ける前のマンション、団地」の風景で、マンションや団地というのは、普段の生活圏が異なる住人がひとつの建物のなかで暮らす場所です。

 そう考えてみると、この表紙のデザインというのは、様々な背景を持つ書き手の作品が隣り合ってひとつの文芸ムックを構成する、という意味が、マンション・団地の夜明けの風景に託されているのかなと思いました。

 表紙までしっかり読める「文芸ムック」で、細やかなところまでデザインのこだわりが見えます。

文芸ムック「あたらよ」で投稿生活をスタートしよう

 今回は文芸ムック「あたらよ」の魅力をご紹介しました。

 僕自身も手元に置いていた新しい短編を「第三回あたらよ文学賞」に応募しています。

 投稿生活をこれからはじめる人も、もういちど公募にチャレンジしてみたい方も、ぜひ実際の誌面をチェックしてみてください。

 あなたにとっての「あたらよ」が見つかるかもしれません。

 2025/06/09

 kazuma

ポメラ日記112日目 第三回あたらよ文学賞に応募した話
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