もの書きがParkerのGELインクリフィルを愛用する理由

皆さんは、文章を手書きで書くとき、どんなペンを使っていますか?
僕は最近は、Parkerのボールペン・ソネットを使って、ポケットノートに文章を綴ったりします。
以前は、自宅で万年筆を使っていたのですが、在宅の作業の気分転換で外出することが多くなり、ボールペンに戻ってきました。
筆記具は昔からParkerのものを使うと決めていて、いま使っているParkerのボールペンも二十歳頃にアルバイト代をはたいて購入したものでした。

Parkerのボールペンを使っている方で、悩まれることと言えば、ボールペンのペン芯に何を使うか、ということがひとつあるかなと思います。
色々、ボールペンの芯を遍歴したなかで、いまはパーカーのGELインク(0.55mm)に落ちつきました。
今回は、在宅ライターの僕がこれまでに使用してきたボールペン芯と、なぜパーカーのGELインク(0.55)に落ちついたのか、について語ってみようと思います。
Parkerのボールペン芯について、どれがいいか悩まれている方は、よかったらチェックしてみてください。
僕のParkerのリフィル遍歴

僕がパーカーの筆記具に興味を持ったのは、大学生の頃でした。
高校から大学に進んだ頃、筆記具について迷われた経験のある方もいらっしゃるかなと思います。
高校生くらいまでの筆記具といえば、
・シャープペンシル
・安価な国産ボールペン(ジェットストリームなど)
・四色ボールペン、多機能ペン
・鉛筆
・蛍光マーカー
・フリクションペン
だいたいこの辺りに落ちつくんじゃないかなと思います。
高校生までは、授業でノートで取る方法も限られていますが、大学生になるとノートPCなども使用するようになり、学部学科によってはこだわりの筆記具を使う学生も現れます。
講義では、フランス語の教授が「筆記には万年筆がいい」という話をしきりにしていたことを覚えています。
僕は大学に入学したあと、ブックオフで海外文学の本を読むことにハマっていて、そのなかでサリンジャーやカポーティといった好きな作家を見つけていきました。
授業の合間を見てルーズリーフに、ちょっと文章を書いてみたりする、どこにでもいるような文学部生だったと思います。
自分でも文章を書いてみたいと思うようになって、文具用品のコーナーの高級文具などをガラスケースの向こうから眺めていました。

はじめてアルバイト代をはたいて買ったのが、パーカー(Parker)のボールペンのソネットです。
パーカーのボールペンを持ったときに感じたことは、ペン軸に適度な重みがあったこと。
この重心のバランスが、書き心地にも関係しているのだなと思いました。
一方で、惜しく感じたのは、軸のなかにあった純正のペン芯で、書き味は決して悪くないのですが、
ロットや製造年の関係なのか、時折、書き出しで掠れることがあり、そこから最適なボールペン芯探しがはじまりました。
これまでに試したボールペン芯についてそれぞれ語ってみます。
①Parkerの油性リフィル(M 中字 1.0mm)

最初に軸に入っていたのが、パーカーの純正のペン芯になります。
油性タイプで、ペンの太さもM(中字)でメモを取るにはいいのですが、手帳などに細かく書き込むには難しいところがありました。
せっかくいいペン軸を使っているので、しばらくして、もう少し滑らかなペン芯はないものかと探しはじめることに。
ここで気が付いたことは、パーカーで使えるボールペン芯は「G2規格」と呼ばれるもので、ボールペンの国際的なスタンダードに準拠しているということでした。
つまり、パーカー社製のボールペンは、他社のボールペンインクと互換性があり、他社インクに乗り換えるのも簡単だということです。
リフィルの世界標準になった「G2」規格は、パーカーが由来

ボールペンのペンの替え芯のことを「リフィル」と言います。
筆記具としてパーカーの歴史はとくに長く、人気モデルになったjotter(ジョッター)をはじめ、当時から高級筆記具としてメジャーな位置を占めていました。
筆記具で有名な海外メーカーといえば、モンブラン、ペリカン、カヴェコ、ステッドラー、ファーバーカステル、シュミットなどがありますが、
パーカーのボールペンは、各社のなかでも特に早い時期に欧米圏で広まったので、筆記メーカー各社はこぞってパーカーと同じ規格でリフィルを作るようになります。

結果的にパーカータイプのものがボールペン芯のスタンダードとして席巻したため、国際規格のスタンダードになり、「G2」リフィルはもっとも互換性の高い規格のペン芯となります。
ちなみに「G2」とは、油性ボールペンのJISの規格上の名称であり、他に有名なJIS規格のタイプでは「D型」(細身で多機能ペンなど、国産のパイロット、セーラー、プラチナ、三菱鉛筆などで使われている。4C互換とも。)があります。
「G2」の特徴としては、インクのタンク容量が多いため、
・筆記距離が長い(長持ちしやすい)
・油性、ゲルインキなどリフィルの選択肢が豊富
・世界で最も販売数の多いリフィルタイプ
となり、ボールペン選びで迷ったら「G2」リフィルが使えるものを選んでおくと安心。

Parkerは、すべてのG2リフィルのモデルとなったメーカーなので、ほとんどの主要メーカーのG2リフィルを使うことができ、他社製インクも気軽に試せるのがポイントです。
そんなわけで、G2リフィルのなかから、とくに使いやすいペン芯を探し始めました。
当時のブログサイトなどを巡回しているうちに、どうも伊東屋のロメオ(ROMEO)の書き心地が異様にスムースだという噂を聞きつけて、試してみることにしました。
②伊東屋 ROMEO No.3(油性1mm)

国内の老舗文具店として有名な伊東屋の「ROMEO」シリーズは、1914年(大正三年)に発売された伊東屋のオリジナル万年筆が由来となった看板商品。
2004年に伊東屋百周年を記念して作られたのが「ROMEO No.2」で復刻版の万年筆になります。
そして現代版として新たにラインナップし定番化されたのが「ROMEO No.3」のナンバリングになります。
このROMEOのNo.3のボールペンリフィルの書き心地が異様に滑らかで、優秀なボールペンインクだと当時、話題になっていました。
実際に手に入れて使ってみると、書き出しの掠れが一切なく、インクフローが非常に良好だということが分かりました。
書き味で言うと、ぬらぬらとした書き味で、惜しみなくインクが出てくるので、とてもリッチな書き心地がします。

はじめてROMEOのNo.3の替え芯を入れて使ったとき、いままでのボールペンは何だったんだ? と思わず笑ってしまうくらい、滑らかな書き心地でした。
実際、ROMEOのリフィルを使い切るまで、一度も掠れがなかったので、国産のボールペンリフィルとして完成度の高い一本です。
まだROMEOのNo.3のペン芯を使ったことがない方に、一度は試してみて欲しいと感じる、面白い書き味ですね。
僕も当時、ROMEOのNo.3で固定して使っていました。
しばらくして、NO.3にもわずかながらウィークポイントがあることに気が付きました。
メリットとウィークポイントをまとめてみます。
【ROMEO NO.3】のメリット
のメリット
・国産メーカーとして唯一無二の書き味
・インクの掠れがまったくない、ノンストレス筆記
・ぬらりとした書き心地、インクフローがピカイチ
・国内の老舗で、近くに店舗があると入手性◎
【ROMEO NO.3】のウィークポイント
・インクフローが良すぎて、容量の減りが早い
・コスパの面で継続して使えるかが課題
・ROMEOと組み合わせる方が筆記性能は良くなる
・丸みのある字になりやすく、トメ・ハネ・ハライがやや難しい
といったところです。
インクが惜しみなく使われる分、筆記距離はおそらくトータルで見たときに、若干、短くなってしまうかもしれません。
大事なお客さんへ、ここぞというときに筆記してもらうビジネスシーンなどに向いているペンシリーズだと思います(もともと伊東屋のNo.3はビジネス向けに作られた製品)。
字の綺麗さや、美しさを考えて筆記したいという場合は、滑りが良すぎるため、トメ・ハネ・ハライが表現しにくいところもありました。
※僕は書きやすさを優先するので、とくに気になるほどのデメリットではなかったですが……。
伊東屋の店舗が近くにある方にとっては、インク切れを起こしたときにも再入手しやすいので、その辺りは国産の老舗文具店として有利な点があると思います。
一番気になる点はコストパフォーマンスの問題で、インクの減り方が少し早いところが、唯一のウィークポイントかなと思います。
どちらかというと、維持コストの問題で、一旦、Parkerの万年筆へ乗り換えたところがありますね。
ROMEOの純正ペン軸を使われている方には、筆記性能を完全に引き出せるのでおすすめ。
③ParkerのGELインクリフィル(0.55mm)

2022年頃まで、手書きの文章は万年筆で書いていたのですが、ここ数年はParkerのボールペンに戻ってきました。
理由としては、自宅からあちこちに転々とするような生活スタイルになったからで、
外出先の机でも筆記しやすい「ボールペン」が用途として合っていたからです。
ちょうどその頃、Parkerの純正リフィルにGELインクが出ていることを知りました。
「パーカー」の人気モデル「Jotter」からジェルペンが新発売になったのは、2018年2月のこと。
僕が使いはじめた頃にはなかったGELタイプのペン芯で、公式サイトにも「日本語のような細かい文字に対応できるようボール径0.55mmを新しく採用」とあります。
実際に使ってみると、一番安定感のあるボールペン芯なのではと感じられる、素晴らしい書き心地でした。
Parkerの純正GELリフィル(0.55mm)を使ってよかったこと

いま愛用しているParkerの純正GELリフィルでよかった点は、
①インクの発色がよく、GELタイプでも速乾性がある
②インクが掠れず、長持ちする
③0.55mmは手帳など、小さい文字も書き込める絶妙なサイズ感
④ParkerにはParkerのリフィルを入れたい
⑤Amazonやモールの文具店で手に入るので入手性も◎
になります。
①インクの発色がよく、GELタイプでも速乾性がある

ParkerのGELインクは発色がよく、文字を書いたときの視認性がいいというのがひとつあります。
たとえば、小さな手帳やポケットノートに書き込んだときも、文字がはっきりと見えやすい綺麗な色味です。
水性インクでありながら、速乾性もあるので、書いていて手のひらにインクが付きにくいのも嬉しいポイント。
書き心地としては、滑らかな筆記ができ、ノートに書くときもペン先が引っ掛からない印象でちょうどいい量のインクフローになります。
GELインクはもともと、油性と水性のいいとこ取り、と言われる次世代のインクですが、パーカーの純正モデルはとくに洗練されていると思います。
②インクが掠れず、長持ちする

ボールペンを使っていて、一番気になるところと言えば、文字を書くときに「掠れ」がないかどうか。
書きはじめのときにインクが掠れてしまうと、文章の書き出しで気持ちが削がれやすいので、「使いはじめ~使い終わり」まで掠れのないモデルを選びたいところ。
ParkerのGELインクはこの点でも優秀で、インクの掠れを感じたことは、ほぼなかった印象です。
またインクフローも、「インクが出すぎる」こともなく、この辺りの絶妙な具合が、インクの持ちの良さにも繋がっています。
インクフローのバランスが取れているので、1本のリフィルを長く使い倒すことができ、体感では2~3ヶ月以上は使い続けられるモデルです。
③0.55mmは小さな文字も潰れずに書ける絶妙なサイズ

パーカーのGELインクのボール径は、0.55mmのサイズがあり、文字が潰れない、絶妙なサイズ感になっているのがポイント。
意外と「0.55mm」のサイズは海外製のインクでは少ない傾向にあり、日本語を書くのにも小さいサイズの方が適しているように思います。
他のサイズのラインナップとして「0.7mm」もありますが、手帳などに書き込む予定がある方は、「0.55mm」の方が使い勝手がよいかもしれません。
パーカーのリフィルはモデルによって生産国が異なるようで、似たようなリフィルにジョッターモデルのGELインクがありますが、そちらはやや廉価版のリフィルで、書き味も異なるようです。
純正の1本入りパッケージのものは、フランス産で品質もよいと感じます。
④Parkerのペンには、Parkerのリフィルを入れたい

これはParkerを使う人のこだわりの面になりますが、
同じ「G2規格」でも、それぞれのメーカーが自社のモデルにセットすることを想定して作られているので、ペン芯の性能を最大限に引き出すには、メーカーを揃えた方がよいだろう、という考え方です。
互換性はもちろんあり、他社製のものを入れて使ってもぜんぜんかまわないのですが、この辺りは、おまじない程度の気持ちの差になります。
純正のものを使っていて、ペン軸と合わなくて使えない、というのは起こらないので、軸と芯のメーカーを合わせる安心感はあります。
⑤Amazonや百貨店、モールの文具店で入手しやすい

Parkerは昔からある筆記具ブランドで、知名度も高いため、オンラインでもリアルでも入手がしやすい点があります。
Amazonでは在庫もかなりの数がありますし、週末に出かけた先の文具店でも、Parkerの取り扱いがあれば、ほとんどの確率で置いてあります。
GELペンは特に近年になって売り出されているペン芯で、僕が確認した範囲では「ロフト、ハンズ」などでも取り扱いがありました。
海外製のモデルでは「何々店でないと取り扱いがない」など、在庫切れで入手できないことがありますが、
Parkerは国内のビジネスシーンや進学祝いなどにも贈られることがある、メジャーな文具メーカーなので、替え芯を入手しやすいのは大きなメリットになると思います。
今回は、ParkerのGELインクリフィルについて語ってみました。
皆さんもお気に入りのリフィルを見つけて、もの書き暮らしを楽しんでみてください。
2025/08/07
kazuma