もの書きのタイプライターキーボード QWERKYwriterS 実機レビュー
皆さんはものを書くとき、どんなデバイスを使っていますか?
ノートPCのキーボードで直にタイプしたり、最近ではiPadに外付けキーボードで書いている方もいらっしゃるでしょう。
でも、「いつもとは違う雰囲気で執筆を楽しみたい」「こだわりのキーボードで書きたい」と思うことはありませんか。
そんな方におすすめしたいのが、タイプライター型のBluetoothキーボード「QWERKYwriter」です。
今回は、タイプライター型キーボードの最高峰とも言える『QWERKY writer S』の実機レビューをお届けします。
タイプライターへの憧れ、所有感を満たすモデル
ものを書く人にとって、一度は憧れるのがタイプライターで文章を打つことではないでしょうか。
たとえば、ジャック・ケルアックが「路上」を書いたときには長さ36メートルに及ぶ長大な紙に、たった21日で12万語超の言葉をタイプライターで打ち付けて一気に書いた逸話があります。
サリンジャーは軍から支給されたタイプライターを愛用し、生涯で3度しかタイプライターを変えませんでした。
事実上の最後の出版作品「ハプワース16、1924」は、「キャッチャー・イン・ザ・ライ(ライ麦畑でつかまえて)」と同じタイプライターで書かれています。
日本では、堀江敏幸さんがデビュー作の「郊外へ」というエッセイで、米国製レミントンのポータブル・タイプライターに出会い、ブレーズ・サンドラールという異国の詩人に思いを馳せながら、露天商の父子と値切り交渉をするという印象的なシーンがあります。
とくに十九世紀から二十世紀にかけて、多くの作家が愛用したタイプライターですが、ワードプロセッサの劇的な普及により、二十世紀末までにほとんどのタイプライターが市場から消えていきました。
現代でも、タイプライターに近いデバイスで文章を打ってみたい。そんな願いを叶えるのが、『QWERKY writer S』です。
QWERKY writer Sとは何か?
QWERKY writerをご存知ではない方に簡単にご説明すると、この製品は英国の「QWERKY TOYS」社のクラウドファンディングで販売されたものです。
初期モデルの発売は2016年で、既に8年近くが経過しています。
しかし、市販のタイプライター型Bluetoothキーボードのなかでは、いまだに最高峰のクオリティと言ってよい商品です。
市場に出回っている廉価なコピー品のタイプライターキーボードはQWERKY writerをモデルにしていたりします。
今回、ご紹介するQWERKY writer Sは、2018年に発売されたアップデート版ということで「S」の表記が追加された型番になっています。
iOS(iPad,iPhone)やアンドロイドのタブレット端末、WindowsタブレットとBluetoothで接続してタイプライターキーボードとしての使用が可能。
円形のキートップを叩くと、本物のタイプライターさながらの打鍵音が鳴り、「文章を打つこと」そのものが楽しくなる、中毒性のあるキーボードです。
「ブラック×シルバー」のゴシックなカラーリングで、もの書きのお部屋に置いておくインテリアとしての見た目も◎。
本体に付いている「リターンバー」はただの飾りではなく、「改行」がキーとして割り当てられており、本物のタイプライターのように文章を一行下へ「送る」ことができます。
では、QWERKYwriter S の実機レビューをお届けしましょう。
QWERKYwriter Sの実機レビュー、各機能紹介
①QWERKYwriter S の打鍵感は?
何といっても、まずはキーボードの打鍵感が気になるのではないでしょうか?
タイプライターキーボードの要とも言えるキーの打鍵感は、メカニカルスイッチの機構で、押下すると深い沈み込みがあり、しっかりとした反発があるのが特徴。
近年のノートPCなどのキーボードは、静音性やコンパクト性を重視してよりフラットなキーボードが採用されていますが、実は文章を打つときにはしっかりとした手応えがある方が、「文章を打っている」という感覚を感じやすく、執筆する上での刺激になります。
とくにQWREKY writer Sを使用してタイプする場合、タイプライター風の打鍵音がしっかりと鳴りますし、キーを打ったときの反動もしっかり指に伝わりますので、「書く」というよりも「打つ」感覚がはっきりと得られます。
本物のタイプライターと同様に、キーボードそのものに傾斜があり、奥から手前に向かってゆるやかに角度があることで、文章を打ちやすくなっているのがポイント。
ちなみにタイプライターキーボードでリスト(手首)が痛くなる場合には専用の「リストレスト」も販売されていますので、こちらもご検討ください。
キーボードはUS配列になっていますが、通常のキーボードを打鍵できる方であれば、そこまで迷うほどのことはないと思います。
打鍵音は「カシン、カシン」という独特の音が鳴り、タイプすること自体が楽しくなります。
ただし、それなりの音が鳴りますので、賃貸アパートの壁が薄い場合や静音性が求められる場合にはおすすめしません。
ご自宅で据え置きのタイプライターキーボードとしてご使用されるのが一番いい使い方かなと思います。
キーボードの一番奥側にはiPadなどのタブレット端末を立てかけておける溝があり、多少の角度はつけられる(一定)ので、スタンドを別途購入する必要はありません。
いつもと違うタイピングを楽しみたい方にぜひ一度使ってみていただきたいキーボードです。
外付けのキーボードは「沼」になりやすいとよく言われますが、タイプライター型のキーボードとしては、これをひとつ買っておけば他のモデルに見向きすることはなくなるでしょう。
それほど完成されているタイプライターキーボードだと思います。
②画面スクロール、音量調整はツマミを回して
QWERKYwriterSには側面の両側に「ツマミ」が付いていて、回すことで画面のスクロールや音量調整を行うことができます。
たとえば、右側のツマミを奥に回すと「見ている画面を下にスクロールする」ことができ、手前に回すと「画面を上にスクロールする」ことができます。
これが文章のタイプ中に行うとどうなるかというと、タイプライターで用紙をセットするときのように、ツマミを巻き上げることで、タイピング中の画面の位置を調整できます。
本物のタイプライターに似せた独特のギミックですので、使ってみるとこれもまた楽しいですよ。
※iPadなどでBluetooth接続をして、右側のツマミのスクロールのみ反応しない場合は、iPad側の設定を変更することで解消できる場合がほとんどです。
iPadの「アクセシビリティ」から「タッチ」へ進み、「AssistiveTouch」の機能を「オン」にしてみてください。丸い白の円形のアイコンが表示されれば、スクロールが可能になるかと思います。
左側のツマミは音量のボリューム調整になっていて、聴いている音楽などの音量が手軽にチューニングできます。
iPadなどのタブレット本体で音楽を流しながら、優雅に執筆することもできますね。
このようにQWERKYwriter Sは、廉価製品とは違って、キーボードに「飾り」の要素がなく、すべて実用に向いたリアルな機能が搭載されているのがポイントです。
③リターンバーの反応はクイックで実用もOK
本体の左手には「リターンバー」という銀色のレバーが付いています。
このギミックは指でレバーを引くことで、「改行」することができます。
レバーの反応はクイックで、実用面でも問題なく使用できます。
ちなみにキーボード側にももちろん「Enter」キーはありますので、どちらでもお好きな方で改行することができます。
このリターンレバーは割り当てるキーを変えることができ、登録しておいた文字の入力にも使用できます。
デフォルトの「改行」が一番使いやすいですが、好みがある場合は設定に従ってカスタマイズしてみてください。
④Bluetooth接続はマルチ接続で三台まで
Bluetooth接続は、マルチペアリング接続となっており、三台までのデバイスを登録しておくことができます。
本体の裏側にBluetooth接続用のボタンがあり、長押しすることでペアリングが可能です。
一度、ペアリングが完了すると、ボタンひとつでBluetooth接続を入れ替えられるので、「いまはiPadで」「次はAndroidのタブレットで」「その次はiPhoneで」みたいな使い方ができます。
デバイスの切り替え方法は、『Fnキー+1』、『Fnキー+2』、『Fnキー+3』で、それぞれのBluetoothデバイスを指定して登録、入れ替えができます。
接続も遅延がなく、タイプ中のスピード感についても支障がないレベルですので、「在宅のお仕事や作業の気分転換」に使いたい方にもおすすめします。
ブロガーやライター、趣味でもの書きをする方に、とくに向いているキーボードだと思います。
海外の文豪になったつもりでタイピングができますので、使っていてとにかく楽しいキーボードですね。
⑤充電は専用ケーブルのUSB-A to USB microB
充電については専用のケーブルで行います。
充電器側の端子はUSB-Aですので、ごく一般的な充電器であれば問題ありません(最新のUSB-Cではないことにご注意ください)
僕はiPhoneに付属していた充電器に挿して充電したりしています。
QWERKYwriterS本体と接続する充電コネクタは独特の形状のため、おそらく他の充電ケーブルは使うことができない仕様です。
ちなみにBluetooth接続だけでなく、この専用ケーブルを使うことで有線接続も可能ですので、遅延の誤差が気になる場合は、有線での接続をお試しください。
QWERKY Writer Sの実売価格は?
QWERKY Writer Sの実売価格は、2024年6月現在、約39800円〜46800円前後で取引されています。
僕は中古のモデルをお譲りいただいたので、お安く購入することができましたが、これから購入される方はAmazonやYahooショッピングを利用することで、確実に入手できるかと思います。(在庫に限りがあるのでお早めに)
また海外のネット通販や英語での取引に問題がないという方は、QWERKYTOYSの海外公式サイトから輸入する方法もあります。
実売価格は、4万円台の高価なタイプライターキーボードですが、それだけの価値に見合うキーボードのクオリティだと思います。
書くことや文章を打つこと、タイピングのデバイスにもこだわり抜きたい方におすすめするキーボードです。
Bluetoothのタイプライターキーボードをお探しの方は、よかったらチェックしてみてくださいね。
ちなみにQWERKYwriterSは、キングジムのカルシェット(スリムタイプ)にちょうど収まりますので、持ち運び用のケースをお探しの場合はこちらの記事をどうぞ。
それでは、よき「もの書き暮らし」を。
2024/6/4
kazuma
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