もの書きが丸善&ジュンク堂の株を買った話
僕はジュンク堂書店が好きで、学生の頃からよく通っている。
近頃は、街中の書店はめっきり減ってしまって、気軽に本を立ち読みすることも出来なくなってしまった。
昔から書店を応援したい気持ちはあって、なるべく手に入る本はAmazonではなく実際の店頭で買ったり、小さな書店でも見掛けたら立ち寄るようにしている。
ただ「本を買う」だけでなく、他に個人的に書店を応援できる方法はないかなと考えていた。
その頃、僕はライティングのお仕事で「新NISA」について書く機会があった。
実際にライティングで扱うまで、僕の株に対する知識は、どうぶつの森の「カブ価」くらいの解像度しかなかったのだけど、色々と調べてみるなかで、「もの書き」と相性がいいところがあるんじゃないかと気が付いた。
そして、実際に丸善&ジュンク堂(丸善CHI)の株を買ってみたので、今回はそのレビューと、株を買うに至った経緯をご紹介しようと思う。
もの書きが「丸善&ジュンク堂」の株を買うまで
僕は関西出身で、丸善と合併する前から「ジュンク堂」にはかなりお世話になった記憶がある。
とくに「ジュンク堂」の大阪本店は、よく通っていたお店で、あの店で本を1冊も買わずに出てきたことがない。
他のお店にはないマニアックな海外文学の新刊も、見たことのない魅力的なタイトルが必ず棚に差してあって、店に入ると回遊魚のようにぐるぐるしてしまう。
梅田には有名な紀伊國屋書店があって、急ぎのときは阪急梅田の通りしなに買うことがあるのだけど、ゆったり本を見たいときは堂島アバンザのジュンク堂に行く。
紀伊國屋の品揃えはもちろん十分にある。ただ、それでもカバーしきれない分を「ジュンク堂」が受け持っていて、「ジュンク堂に行けば、何かある(逆に言うと、ジュンク堂でさえ扱っていない本は、古本屋かネットを当たるしかない)」という安心感がある。
いわば、大阪で単行本(新刊・既刊)を探すときの「最後の砦」が、僕のなかでの丸善&ジュンク堂の位置づけになっている。
そんなわけで、ぜひとも続いていってほしい、応援したい書店が「ジュンク堂」だった。
新NISAの制度がはじまって、株をはじめるにはちょうどよかった
ライティングで新NISAについて調べていたとき、ちょうど2024年が新制度のスタートだと知った。
これまで、旧NISAの制度は「一般NISA」と「つみたてNISA」で制度が分かれていたようなのだけど、1本化されたことで使い勝手がよくなったようだ。
また非課税投資ができる年数も、一般NISAの5年縛り、つみたてNISAで20年縛りがなくなり、生涯に渡って合計1800万円までは非課税投資ができる。
新NISAの制度はざっくり言うと、株式投資で儲けたお金の分に税金(20.315%)が掛からない。
Xでは、新NISAで株が暴落した、という話がトレンドに上がっていたけれど、もともと僕は「株で儲ける」のではなく、「書店を応援したい」&「株主優待が欲しい」のが動機だから、長期保有を前提にすればいいと思った。
実際、僕は金融・経済の話題は門外漢で、あまり分からないことに手を出すと痛い目に遭うので、ここは株主優待のみを狙おうと考えた。
もの書きが「長期保有」&「株主優待」に向いていると思ったわけ
僕なりに「もの書きが株と相性がいい」理由を考えてみると、いくつか思い当たるところがある。
プロの専業作家ではなく、趣味でもの書きをしている場合、日中のお仕事があると思う。
つまり自然と「兼業アマチュア作家」の状態になるわけで、趣味のもの書きに使えるのは、仕事が終わったあとの時間だ。
仮に本業の他に副業をやっていたりすると、趣味の創作に使える時間はもっと少なくなってしまう。
もの書きがしたいのに、その上、株の値動きまで気にしているわけにはいかない。
実はこれが、もの書きが「株の長期保有」に向いている理由だと僕は考えている。
株式投資のトレードで稼ぐようなやり方ではなく、資産として積み立てていくような株の買い方なら、なるべく長期(5年~10年以上のスパン)で保有しているのがいい。
短期間で日々の株価を見ながら、株を売買し、市場の値動きに張り付いて予測するのはプロでも難しいと言われる。
本業もあり、趣味で創作をする場合は、現実的にトレーダーのような売買はできない。単純に時間が足りなくなる。
それよりも「長期保有」を前提にして、株を積み立てていき、毎日の値動きは一切追わずに保有しつづけることが、実は長期の投資ではメリットに働く可能性がある。
もちろん元本割れのリスクもあるわけだけど、そもそも「株で儲けよう」という出発点ではなく、株の資産も保有しつつ「株主優待」を狙う方が初心者の投資にはいいのではないか。
そう考えたとき、僕にとって「丸善&ジュンク堂」の株は魅力的に見えてきた。
投資初心者の僕が「丸善&ジュンク堂」の株を買ったわけ
僕が「丸善&ジュンク堂」の株を買ったのは、「ジュンク堂書店が好きだから」「書店として信頼できる」ことの他に「株主優待」が魅力的だから、というのがある。
実は丸善&ジュンク堂の株(丸善CHI)の株は、1株あたり310~330円台でいまのところ値動きしていて、100株(単元株)は「31000円~33000円」で取得できる(2024年11月の記事執筆時点)。
そして、ジュンク堂は100株から「株主優待」があり、毎年1回、「100株~200株未満」の場合は、ジュンク堂の商品券が「500」円分貰える。
これからも本を買い続けることは確かなので、毎年「500」円分の商品券が届くと思うと、5年~10年単位で見たときにかなりおトクになると思う。
丸善&ジュンク堂が倒産することがないかぎり、株は資産になるので約「3万円」分の貯金として見ることもできる。
どうしてもお金に困ったとき、工面する必要があるとき(たとえば仕事道具のMacbookが壊れるなど)は、売却することができるので、「株の貯金」と思って持っておくのがいいかもしれない。
これが、僕が「丸善&ジュンク堂」の株を買った理由のひとつ。
文学に関わる「株」であること
僕はものを書いたり、本を読んだりするのが好きなので、なるべくそれに関係する企業が長く続いていって欲しいという思いがある。
株式で「儲ける」ことを目的にしてしまうと、どうしてもマーケットのプロには敵わないだろう。
だから「株での利益」はあくまで「おまけ」で、「長い目で見たときに値上がりしていたらいいな」ぐらいに考えるとよいかもしれない。
そう考えると応援したい企業はいくらもあって、たとえば、僕が執筆スポットとしてお世話になっている「コメダ珈琲」の株や、文房具の「キングジム」の株も、いつか買えたらいいなと思う(単元株が高いので、僕にはとても手が届かない)。
ちなみに余談ではあるけれど、大手の出版社は基本的に上場はしていない(KADOKAWAを除く)。
もともと出版社は言論の自由や文化を担う社会的な側面があるので、大株主の意向で社説を曲げられたり、言論の自由を奪われたりするのは、出版社の設立目的にそぐわない、という名目がある。
文学好きなら、みなが知っている五大文芸誌の出版社(講談社・新潮社・文藝春秋・河出書房・集英社)はいずれも、株を買うことはできないので、豆知識として覚えておくとよいかもしれない。
「S&P500」や「オルカン」よりも、自分が好きな企業に投資する方が面白い
積み立てNISAの枠では一応、手堅いと言われている「S&P500」や「オルカン」という銘柄があるが、僕は買わなかった。単純に面白くないから。
僕自身のもの書きの収入では、投資に回せる額なんて高が知れていて、年間でも2~3万円くらいしかない。
どうせやるなら、もの書きに関わる銘柄に投資がしたい。
「5万円以内で買える単元株で、株主優待がある銘柄、かつ文学に関わるもの」を探すと、丸善CHIの株が一番条件が揃っていた。
実際「5万円以内の株主優待のおすすめ株」として取り上げられることもあり、はじめての株取引にも向いていると思う。
株の情報を追うのにも、自分が興味があるものと、そうでないものでは、まったく感度が違う。
同じ投資をするなら、自分が一番好きな分野がいい。それなら企業の情報を追うのも苦じゃない。
儲けるための投資とは真逆かもしれないが、日々の株価の値動きに一喜一憂するよりも、健全な心持ちで投資ができると思う。
国が書店の減少を危惧していて、国策として支援される可能性がある
僕が「丸善&ジュンク堂」の株を買ったもうひとつの理由は、全国的に書店の減少が起きていることを、政府が少なからず危惧しているように見えるからだ。
今年の8月中旬頃に、書店減少についてのニュースが流れたことを知っているだろうか。
全国的に街の書店が明らかに減ってきていて、国としてもこのままでは文化的な側面からまずいと感じているようで、経済産業省が書店を支援する案を募っていることが明らかになった。
国が支援をしたからといって、すぐに書店の経営的な問題が解決するかというと、そうではないかもしれない。
でも、長期的に見たときに書店経営にとって追い風になることは何となく予想できる。
そのときに国内書店業の最大手のひとつ、丸善&ジュンク堂が何の支援も影響も受けない、というのはあまり想像ができなかったので、僕はこのニュースをプラス材料として判断した。
もちろん、これは確定の話ではなく、あくまでもニュースを知って僕が判断してみた、という話。実際の株を買うときは、自身の判断で考えてみてね。
「丸善CHI」の株を買うときにSBI証券を利用した
実際に「丸善&ジュンク堂」の株を購入する段階になると、証券会社を選択する必要がある。
というのも普通の銀行口座から国内株式を買うことはできないので、かならず証券会社で口座を開設して購入することになる。
証券会社でも色々な種類があって、一番有名な「SBI証券」や「楽天証券」、ほかにも「松井証券」(株主優待名人の桐谷さんが使っていたことで有名)などがある。
一般的なゆうちょやメガバンク(三菱UFJ、三井住友、みずほ、りそな)も新NISAの取り扱いがないわけではないけれど、株式を保有する手数料がかなり掛かってくる(信託報酬のコスト)。
わざわざ生活口座で使う銀行を投資で利用するメリットは薄い。
そもそも、国内株式を銀行系の新NISA口座から投資することはできないので、国内株式(たとえば「丸善&ジュンク堂」の株を成長投資枠で買いたい場合)へ投資したいなら、かならず「証券会社」を選ぼう。
手数料が安くて、投資の初心者にも使い勝手がいいのは「ネット証券」で、僕が調べた限りでは「SBI証券」と「楽天証券」、「松井証券」この3つだと思う。
たぶんこの3つなら、どれを選んでも失敗はないと思うのだけれど、一応、選ぶ基準としては、
SBI証券→ネット証券会社の最大手。株式の取り扱い銘柄が幅広く、他の証券会社と比べて後悔しにくい。国内株式の取引手数料ゼロ。
楽天証券→SBI証券とほぼ並ぶ銘柄数、国内株式の取引手数料無料。
普段から楽天を頻繁に使う方であればおすすめ。楽天ユーザーであればポイントが貯まりやすい。
※なお、証券口座で使用できるクレジットカードは、楽天カードのみなので、お持ちでない場合は注意。
楽天証券は、とくに楽天経済圏(楽天カード、楽天モバイル、楽天ショッピング)で有利。
松井証券→一日50万円以下の取引の場合、売買手数料が無料。国内の老舗証券会社で、株主優待名人の桐谷さんが愛用している証券会社としても有名。独自の検索ツールがある。
単元未満株(S株)は購入できないため、小分けにして買いたい方は、SBI証券か楽天証券を選ぶとよい。
僕は楽天のユーザーではない(その代わりにAmazonをよく使う)ので、SBI証券を選んでみた。
50万円以上の取引を行う予定がなければ、基本的にこの3つの証券会社であれば、取引手数料が無料になる。(SBIと楽天は50万円以上でも条件を満たせば手数料無料)
あとは自分にとってのメリットが「取引銘柄数か、貯められるポイントか、使えるツールか」で選ぶとよいと思う。
文学に投資するのは楽しい
これまで僕は株にはまったく興味がなかったけれど、「書店や文学に関わる企業が続いていって欲しい」という気持ちから、投資をはじめてみた。
将来への貯金の感覚で株式を購入しつつ、リスクの少ない低額(5万円以下の単元株)から、株主優待を楽しむことができる。
丸善CHIの株は「100株~200株未満」で丸善&ジュンク堂の商品券が「500円分」が毎年9月末に届く(権利確定は7月31日まで)。
「200株」まで買い増すと、優待が「1000円分」の商品券になるので、来年の7月までに追加で投資できればと考えている。
「文学に投資する」ことで、株主優待のお得なメリットや将来への備えにしつつ、もの書き生活を楽しんでみるのはいかがでしょう。
2024/11/02
kazuma
もの書きの余談:投資をはじめるにあたって、「インベスターZ」を楽しみながら読みました。これから株を買ってみたいという方は、ワクワクしながら読める漫画です。
kindle Unlimited(キンドルアンリミテッド)なら、インベスターZが1~10巻まで読み放題の対象となっています!(期間限定、2024年11月2日時点の情報)。
【「本気になる」とは、ここ一番でリスクを取ることって話。】1/3 pic.twitter.com/GKO4PkduOF
— インベスターZ公式 |お金の偏差値を上げる (@investorz_mita) November 1, 2024
「インベスターZ」をお得に読めるチャンスなので、投資を楽しみたい方におすすめしたいコミックです。
kindle Unlimited(キンドル アンリミテッド)は月額980円で、初回登録は30日間無料で読み放題になります。
「インベスターZ」を読みつつ、他の文学作品やコミック、雑誌などの情報も集めやすいので、一度は使ってみることをおすすめします。
kindle Unlimitedには、電子出版のみで活動しているkindle作家さんもいるので、アマチュアの方が創作をはじめるプラットフォームとして使うきっかけにもなるかなと思います。
一通り読み終わったら、一旦解約して、実際に文学に関わる株を買ってみたり、ご自身の作品を電子出版してみるのも「文学に投資する」一つの方法です。
(了)