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一馬日報(手記) 翻訳・和訳

blink-182『Adam’s song』を和訳してみた。

新しいタイプライターキーボードが届いたので、今日の記事はこれで打ちました!

 こんばんは、kazumaです。今日はちょっと趣向を変えて、気になっている洋楽の曲を紹介しようと思う。僕はけっこう執筆中も、あるいは考え事に煮詰まってしまったときに音楽を聴いていることが多い。曲を聴いていると余計なことは考えずに済むし、周りの雑音を消してしまえる。いまもタイピングをしながらBastilleなんかを聴いている。大体洋楽のポップソングやオルタナティヴロックを聴いているが、大抵はイギリスのアーティストだ。なぜかどうも曲が気になる時に、アーティストを調べてみるとイギリスのシンガーであったりすることが多い。読者諸兄はそんなことはないだろうか(読んでいる本が気が付いたら特定の国の作家に偏っていたり)

 学生時代はOasis、Ed sheeran、それからさっきのBastilleを好んで聴いている。他にもJames arthurやLewis Capaldiが好きだ。みんな英国のアーティストである。はじめは言葉の意味もわからず聴いているが、意味なんてわからなくとも伝わってくるものがあるのが音楽のよいところだ。

 気になったアーティストの曲はなるべくCDも買って歌詞も読むようにしている。依然として僕はサブスクリプションサービスや何やらについていけない準アナログ人間なのだ。未だにCDからiTunesに読み込んで、曲を入れているし、CDコンポで曲も流す。
 英語については僕は素人で、大学の別科にあった翻訳の授業にちょこっとモグリで顔を出していたくらいだ(そういうモグリで聴いていた授業の方がけっこう面白かったりするのだ)。義務教育課程の英語が何となくわかるかなという程度のものである。学生の頃は、Oasisの歌詞をノートに書き写して、自分で訳してみたりしていた。そのことをふとした瞬間に思い出して、そういえばこれブログでやってみてもいいのかもな、と思ったりしたので、この記事を書いている。

 曲を知るのは大抵youtubeを流しているときだ。お気に入りのアーティストの曲を探していると時折、自動で関連動画が出てきてちょっと勇気を出して飛んでみる。それで新しいアーティストを知ることが多い。今回、和訳してみたいタイトルはいっぱいあったのだけれど、練習ということで最近気になっていたあるバンドの曲を和訳してみようと思う。

 Blink-182というバンドがある。どうも彼らはアメリカのロックバンドで90年代から2000年台に掛けて活躍したバンドのようだ。僕も大してよく知っているわけではないことをまず前置きしておく。ギターなどの演奏経験もないので、音楽的に彼らがどんな技術を持っているか、ロックバンドの系譜のなかでどういう立ち位置か、そういうことには明るくない。

 コメント欄を見ているとミレニアル世代(millennial)のための曲、十年振り、二十年振りに懐かしんで聴いているようなひとたちが多かったので、海外の、僕と同じ世代のひとたちが親しんでいた曲なのだろう(僕はジェネレーションY世代である)。当時、僕は別にこの曲を知っていたわけでもないが、何となく2000年台の空気感が出ているように思えるので、国は違えど、懐かしむ気持ちは、何となく分かるような気がするのである。

 彼らはいい意味でバカっぽいロックバンドのMVや歌詞でも知られているようなのだが(他の動画コメントにはBlink-182のメンバーが脱いだりしてないだけマシだとか、書いてあったりした気がする)、意外と(?)シリアスな歌詞を書いていたりして、今回の『Adam’s song』もそれに当たる。妙に引っかかる感じの歌詞の書き方で、それが僕は気になったので取り上げることにしてみた。
 
 では、和訳をやってみようと思う。十年振りくらいに洋楽の翻訳をやるので、不慣れな部分には少し目を瞑ってほしい。間違いがあれば、ぜひコメント欄やTwitterのリプライ(@kazumawords)でこっそり教えてもらえればと思う。あとで修正をかけるので。ではいってみよう。

I never thought I’d die alone
ひとりぼっちで死ぬなんてちっとも思わなかったんだ

I laughed the loudest who’d have known?
ぼくが大声で笑っていたことなんて誰が知っているだろう?

I traced the cord back to the wall
コードを壁まで辿ってみたけれど

No wonder it was never plugged in at all
ぜんぜんプラグが刺さっていなくたって別に驚きゃしない

I took my time, I hurried up
時間をかけて 生き急ぎもした

The choice was mine I didn’t think enough
なんだって自分で選びもしたさ でもそれだけではもう足りないんだ

I’m too depressed to go on
前に進むにはあまりにも気が引ける

You’ll be sorry when I’m gone
僕が行ったら君は気の毒に思うだろうね

I never conquered, rarely came
うまくいくことなんてめったになかった

16 just held such better days
十六歳のときに過ごした日々の方がいつだってマシなんだ

Days when I still felt alive
まだ生きていると感じるいまなんかよりも

We couldn’t wait to get outside
僕たちは外へ出たくて待ちきれなかった

The world was wide, too late to try
世界は広くて、挑戦するには遅過ぎた

The tour was over I’d survived
この旅が終わって僕たちは生き延びた

I couldn’t wait till I got home
いまは家に帰るのが待ちきれなくなってんだ

To pass the time in my room alone
部屋でひとりぼっちの時間を過ごすためにさ

I never thought I’d die alone
ひとりぼっちで死ぬなんてちっとも思わなかったんだ

Another six months I’ll be unknown
きっと僕の知らない別の六ヶ月があったら

Give all my things to all my friends
僕の持っているものはみんな友達にあげる

You’ll never set foot in my room again
君はもう二度と僕の部屋に立ち寄ることはない

You’ll close it off, board it up
扉を閉じて 札を上げる

Remember the time that I spilled the cup
Of apple juice in the hall
僕が玄関でアップルジュースを落としていたときのことをまだ覚えていたらさ

Please tell mom this is not her fault
それはあんたのせいじゃないんだって母親に伝えてくれないか

I never conquered, rarely came
うまくいった試しなんかめったにないんだ

But tomorrow holds such better days
けれど明日がきっといい日だったらさ

Days when I can still feel alive
生きているって感じられるんだったらさ

When I can’t wait to get outside
外へ出るのが待ちきれないんだ

The world is wide, the time goes by
世界は広くて、時計の針は進む

The tour is over, I’ve survived
旅はもうおしまい、僕は生き延びた

I can’t wait till I get home
家に帰るのが待ちきれないんだ

To pass the time in my room alone
ひとりぼっちの時間をあの部屋で過ごすために

Blink-182 『Adam’s song』 訳:@kazumawords

 どうだろう、この歌詞。何か引っかかるところは、皆さん、ないですかね。

 妙に思わせぶりな歌詞ではありませんか。はじめの出だしのフレーズから終わりに至るまで、ある意味これは孤独な青年が何とかして大人になろうとしている瞬間を、そしてその瞬間を振り返って眺めているような、そんな歌詞と歌い方なんですね。

 確かにこれはsuicide(自殺)の文言、そのものは出てこないですけれど、明らかにそれを思わせる歌詞であることは間違いないです。そして、実際に、とても悲しいことですけれども、この曲を掛けながらコロラド州の少年が自殺を図り、亡くなったそうです。(https://www.barks.jp/news/?id=52010463)

 でも、バンドのメンバーはこの曲をただ自殺を匂わせることで曲を締め括っていたわけではなく、むしろそういった孤独の極限の瞬間を乗り越えた先のことを歌っているんじゃないんですかね。明らかにこの曲は未来の時点から、過去を振り返っています。

“But tomorrow holds such better days”が曲の転換点になっています。


 この曲の主人公Adam(アダムとエバのアダムなので、日本でいうところの「太郎」みたいな意味じゃないでしょうか。あるいは長男とかに誰でも付ける名前、『ある男の子』という意味合いくらいの、そうしているのは、誰でもAdamになる可能性があることを示唆しているのかな)は、昔はよく笑う男の子だった。コードを辿るとプラグが刺さっていなくて〜、のくだりは、どう訳すか迷ったんですけど、バンドの曲なんで、演奏器具のプラグが刺さっていることにも気が付かなかったということを描いているようですが、これはおそらく表向きの訳で、たぶんこれは暗喩じゃないですかね。コードが壁まで辿ってみたら刺さってなかったっていうことはこのアダムはいったい何をしようとしてたんですかね? 深読みだったらすいません、ですけど、コンセントにコードを挿して自分に巻きつけて感電死しようとしたけど刺さってなかったから助かった、という暗喩のセンで僕は考えました。

“I took my time, I hurried up, The choice was mine I didn’t think enough”のフレーズは、どうもこれは対応している歌詞があるみたいなんですね。ニルヴァーナの歌詞にそれがあるらしいんです、僕もコメント欄で知ったんですけど。

ヴォネガットの『スローターハウス5』に出てくるクリアウォーターの『カラマーゾフ』への言及と似たような感じでやっているんですかね。ちなみにそっちの方は「人生について必要なことはすべて『カラマーゾフの兄弟』のなかに書いてある。だけどもうそれだけじゃ足りないんだ」という箇所です。有名なので知っているひとは多いと思うけど。


コメント欄から引用すると、

Take your time, hurry up
Choice is yours.
-Nirvana(1991)

I took time, hurried up
The choice is mine I didn’t think enough.
-Blink-182(1999)

 YouTube コメント欄より引用しました。

 どうでしょう、まんまスローターハウスじゃないですか? 先行する偉大なアーティスト(あるいは文学者)に対応する歌詞(文章)で上げてくるのはほんとに胸熱展開ですね、といつも思っております。サリンジャーの作品の中でフィッツジェラルドの名前を見つけたりするときとかね。 

 余談で逸れましたが、この歌の少年はやっぱりどこかへ行こうとしているんですね。そして大人になる旅を一通り終えて、またひとりぼっちの部屋に帰ろうとするのが懐かしいなって歌っているわけです。大人になる旅っていうのは、ひとりぼっちの孤独と抱えこんだ自殺願望を乗り越えて、という意味でしょう。そのあとにI’ve survived(僕は生き延びた)とあるんだから。

 十六歳に過ごした日々が人生の中で一番最高の日々だった、でも明日は違うかもしれない、そういうことを彼らは歌っています。何気ない歌詞の中で一番胸を打つのは、やはりアダムがアップルジュースをこぼしたときのことですね。そんときのことを覚えていてくれ、思い出してくれって彼は友人か身内の誰かに頼んでいるわけです。それでその頼んだ内容が、それをこぼしたのは母さんの間違いじゃないんだよって伝えてくれと。でもこのシーンが伝えたいのは言葉通りの意味ではないんですね。どう見ても違う、彼が言いたかったのはおそらく彼はもうまもなく自殺を図る、あるいはどこかへ行こうとしている、扉は閉まって、部屋には札が掛かり、もう二度と君が立ち寄ることはないだろうと言っている。そのなかで母親に向かって、あなたが僕を産んでくれたことに間違いはなかった、僕が行く、あるいは死のうとするのはあなたのせいではないんですよ、ということです。そう思って聴いてみると、こんなに響く、文学的な歌詞はなかなか滅多にお目にかかるものではないんです。色褪せない曲っていう言葉はこういう曲のためにあると思いますよ。

 そんなわけで、いかがだったでしょうか。僕も久しぶりに電子辞書を叩きながらこのBlink-182の曲について解読してみました。曲の翻訳は謎解きみたいで楽しいんですよね。いつか短編くらいの海外作家の作品の翻訳もやってみたいなと憧れておりますが、いまは手慣らしということで。MVなんかもひとつの短編小説みたいな仕立てのものがあって、そういうのを観るのが好きですね。

 Blink-182については、いま風のものならばchainsmorkersとコラボしたP.S. I Hope You’re Happyがお勧めです。昔のドット絵のレトロなMVで、曲調はOwlcityのFireflies(一時期、流行りましたよね! え? 僕だけ?)とBlinkの別の曲(I miss you)のあいの子なんて言われてますが。どちらにせよミレニアル世代には刺さりますね。『I miss you』もミステリアスな名曲でおすすめです。発音がコメント欄でネタにされるのはご愛嬌。Blink-182のコメント欄には大抵面白いやつがいる。

今日はここまで。

See you agein soon.

kazuma

余談ですが、Bluetoothのタイプライター型キーボードを入手しました。実はこの文書もタイプライターキーボードで書いています。カシャカシャ音を鳴らすのめっちゃ楽しい。今日はごきげんです。またいつか紹介しようかなと。写真だけ上げときます。

追記:Twitterから気になった点上げときます。

https://twitter.com/kazumawords/status/1377628117267800065?s=21

「blink-182『Adam’s song』を和訳してみた。」への2件の返信

素晴らしい内容でした!
ただの和訳はよく見ますが、ここまで歌詞を深く解釈をしてるのは初めてです。
ブリンクファンなので、ほかの曲も期待したいところです★

はじめまして、コメントありがとうございます。

Blink-182って、良い意味で馬鹿っぽいような(パンクな)ところがあると思うんですが、そういう彼らが人生についてマジメな顔をして本気で歌っているところに、何か打たれてしまいました。そういうギャップですかね、『Adam’s song』の魅力って。ちょっと他の曲とは歌い方が違うように見えたんです、素人の僕にも。

僕は元々、文学畑の人間なのですけれど、この記事だけ異様にトラフィックが多いので、たぶんblinkのファンの方が見てくださっているのかなと思います。何かのお役に立てたのなら光栄です。

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